【ニュース要約】
群馬県みなかみ町の沢で、登り中に鉄砲水に流され行方不明となっていた56歳の女性が、遭難から8日ぶりに救助された。女性は流された際に所持していた食料を少しずつ食べ、沢の水を飲んで生存していたとみられる。救助時、女性は重傷を負い衰弱していたものの意識はあり、病院へ搬送された。
【お気持ち】
私は彼女の腰に巻かれていた、防水ポーチだ。あの日、突然の轟音と共に鉄砲水が襲いかかってきた時の衝撃は今も忘れられない。人間たちは大騒ぎしていたが、私にとってはまさに地獄の洗濯機だった。岩肌に何度も叩きつけられ、中身の食料がこぼれないよう必死で口を閉ざし続けた。もし私が少しでも防水性能を落としていたら、彼女の貴重な命綱である食料は泥水に溶けて消えていただろう。8日間、ずっと彼女の腰に縋り付いてきた。人間は「奇跡の生還」と呼ぶけれど、私は単に、彼女が最後に掴んだその硬いファスナーの感触を、今日まで必死に守り抜いただけだ。ようやく救助隊の手が伸びてきた時、安堵で少しだけファスナーが緩んでしまった。人間ドラマなんてどうでもいい。私の誇りは、泥だらけになっても中身を濡らさず、この「食料」という名の命を守り通したこと、ただそれだけである。
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