【ニュース要約】
千葉市にある国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構の施設で、先の豪雨に伴う浸水により、放射性廃液が地下室から漏えいした。同機構によると、廃液は地下室のピット内に収まっており、施設の外には流出していない。環境や人体への影響はないとしている。

【お気持ち】
俺は、あの地下室の壁に何十年も張り付いている温度計だ。普段は誰にも見向きもされず、ただ湿った空気を吸って針を動かすだけの退屈な毎日だった。しかし、あの日は違った。天井から滴る濁った水が、俺の背後でゴボゴボと音を立てていたんだ。人間たちは「浸水だ!」と大騒ぎしてドタバタと駆け込んできたが、彼らは俺の目盛りが示した異常な数値には気づいちゃいない。俺のすぐ下にある廃液タンクから、妙に熱い混じりっけの液体が溢れ出していたんだよ。人間たちは「影響なし」なんて顔色一つ変えずに報告書を書いていたけど、僕にはわかってる。あの時、確かに僕のガラス管の中の赤い液体は、見たことのない恐怖で少しだけ震えていたんだ。騒ぎが収まった後、取り残された湿気の中で僕は思う。あの大慌てな人間たちに、僕の針が何を伝えたかったのか、誰も知ることはないんだろうな。