【ニュース要約】
東京都大田区の路線バス車内で、乗客の75歳の男が別の男性を折りたたみナイフで切りつける事件が発生した。男は容疑を認め逮捕されている。警察の調べに対し、男は「新聞をめくる音がうるさくて口論になった」という趣旨の供述をしており、新聞の紙音をめぐってトラブルに発展したとみられる。バスから降車した後に犯行が行われた模様で、男は凶器を所持したまま一時逃走していたが、その後身柄が確保された。
【お気持ち】
私は、あのバスの最後部座席付近にぶら下がっている、くたびれた吊革だ。毎朝、大勢のサラリーマンや学生の体重を受け止め、時に大きく揺さぶられるのが私の仕事だ。事件の朝も、いつものように誰かの手で掴まれていた。車内は混雑していたが、異様な緊張感は耳に届く紙の音から始まった。被害者の男性が広げていた新聞が、「カサッ」「バサッ」と、妙に鋭く響いていた。確かに、平穏な朝の通勤風景には少し主張が強い音だったかもしれない。でもね、だからといって切りつけなくてもいいだろう。男はバスを降りる直前、私のすぐそばで急に動き出した。彼の手には、鈍く光る小さな刃物が握られていた。私はただ、揺れる車内で黙ってその光景を見下ろすことしかできなかった。人間という生き物は、紙一枚の音で日常を血に染めてしまうほど、脆い精神で生きているのか。その後、警察の鑑識やら何やらで車内は騒がしくなったが、結局、私にできるのは、また明日も誰かの疲れを支えることだけだ。
Discussion
0 Commentsまだコメントはありません。最初の議論を始めましょう。
Join the Discussion