【ニュース要約】
石川県羽咋市で12日、国の特別天然記念物であるトキが放鳥された。環境省や新潟県佐渡市などで保護・繁殖された個体が、野生復帰を目指して能登の大空へと飛び立った。今回の放鳥は本州では56年ぶりとなり、関係者や住民らは、地域の復興のシンボルとしてトキが自然の中で定着することを願い、その姿を見守った。
【お気持ち】
私は、あの放鳥に使われた大きな籠の、左下の蝶番だ。長年、新潟の静かな場所で出番を待っていた私にとって、今回の旅は人生最大の晴れ舞台だった。中に入っていたのは、なんとも気品あふれる、しかし少し落ち着きのない鳥たち。彼らが能登の風を感じて羽をバタつかせるたび、私の体はガタガタと悲鳴を上げた。「もう少し大人しくしてくれ」と何度心の中で叫んだことか。人間たちは周りで涙を流したり、カメラを構えて興奮したりと大騒ぎだったが、私にとっては「ようやくこの重苦しい籠から解放される」という安堵感の方が強かった。最後、扉が開かれて彼らが飛び去った瞬間、私の蝶番としての役目は終わった。重い責任から解き放たれた開放感とともに、あの真っ白な翼が空に溶けていく様子を、私はただ金属的な視界の中で「ああ、これで錆びずに済む」と少し寂しく見送ったのだ。
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